第39章 Daylight
長瀬さんの運転でファミレスへと着いた俺は、まだ朝飯を済ませていない四人と一緒にテーブルを囲んだ。
「で、さっきの話なんだが…」
空になった茶碗の上に箸を揃えて置き、両手を合わせた岡田が、食後のコーヒーを啜りながら思い出したように言う。
「喜多川建設とその関係各所に家宅捜索が入ったのは、お前も知ってるな?」
「ああ」
「当然だが、叩けば埃の出る会社だ。余罪も含めて捜査が進められているようだが、これがなかなかどうして手こずっているようでな…」
岡田が眉尻を下げて、また一口コーヒーを啜る。
「で、でもそれと翔の件とは…」
「別ではないよ。櫻井の親父さんは”関係者”の一人だ」
言いかけた俺の言葉を遮るように、岡田が大きく首を横に振る。
「あっ…」
「喜多川建設が児童養護施設を隠れ蓑に児童買春をしていたことに関しても、それからお前の件に関しても、櫻井の親父さんが大きく関わっているのは周知の事実だ。当然だが櫻井自身もこの件に関しては聴取を受けてるようだし…」
深いため息を一つ落として、カップに残ったコーヒーを一気に飲み干した岡田は、近くにいた店員を呼ぶと、追加のコーヒーを注文した。
コーヒーが運ばれてくるまでの間、岡田はワイシャツの胸ポケットから煙草を取り出し、その一本を口に咥えた。
そして俺に向かって煙草を差し出すと、
「お前もいるか?」
シャバに出た記念だとばかりに、ニヤリと笑って見せた。
でも俺は、
「今はいらない…」
それを受け取ることなく断った。
翔が戻って来たらその時は…