第37章 Oath
ピッと小さな機械音が鳴って、音声データが止まる。
シンとした法廷内がざわつき、中には啜り泣く声まで聞こえる。
そして俺も…
翔がどれだけの覚悟で、ただ俺のためだけにその手を罪の色に染めたのか…それを思ったら涙が溢れて止まらなかった。
「お聞きの通り、この音声データには被告人とされる大野智が、証人及び証人の起こした傷害事件の被害者でもある櫻井俊氏と、被告人の仕事先でもあった喜多川建設の仕組んだ巧妙な罠に嵌められたことが、自白の元に明らかになっています」
岡田の声と表情の端々に自信が満ち溢れているのが分かる。
「櫻井さん、貴方はどうして危険だと…御自身の社会的地位も失くすと知りながら、このデータを?」
「それは…、彼を…智君を救うためには、こうするしかないと…。それまでに手にした証拠だけでは、智君の冤罪を晴らすには弱いと考えたからです。もっと確実な…決定的な証拠が欲しかったんです」
翔…
もしこの場所が法廷でなければ…
もし許されるのであれば、今すぐお前のその震える肩を抱きしめたい。
「そうまでして貴方が彼の冤罪を晴らしたい理由は?」
「彼を…智君を愛してるからです。智君ためなら、俺はこの命だって惜しくない…それくらい彼を愛してるから…」
翔が一瞬俺を振り返って、涙に濡れた顔で笑う。
今まで俺後が知ってるどんな笑顔よりも、綺麗な笑顔で…