第37章 Oath
冒頭陳述が終わり、続けて検察側の証拠調べによる立証が始まった。
検察側席と裁判官の前を、証拠品を手に何度も往復する検察官。
でも、出される証拠品のどれもが最初の裁判の時にも目にした物ばかりで、目新しい物は何一つない。
と、思っていた矢先、目の前のモニターに映し出されたスニーカーの画像に、俺は首を傾げた。
明らかに俺の記憶にない物だ。
検察官はそれを俺が事件当日履いてい物だと言うが、俺はそれに意義を唱えた。
「俺のじゃありません」
でもそれが簡単に通る訳もなく、根拠を問われた時、俺は言葉を詰まらせてしまった。
それでも見覚えのない物を前に、自分の物だと偽ることは出来ない。
「では続けて弁護人…」
岡田がファイルを手に颯爽と立ち上がる。
そして検察官と同じように、幾つかの証拠品を提示して行く。
検察側と違って、岡田の提示する証拠品の中には新しい物もいくつかあって…
その中には、あの日管理人から貰った雑誌や、防犯カメラの映像なんかも含まれている。
勿論、俺の唾液から採取したDNAの鑑定書も同様だ。
俺が結と性交渉を持っていないと証明する物でもある。
そしていよいよ弁護側が申請した証人に対する尋問が始まった。
傍聴席にいた侑李が柵を超え、入廷してくる。
その顔は、いつものオドオドして少し頼りない印象の侑李ではなく、どこか自信に満ちたような…そんな雰囲気さえ漂わせている。
「良心に従って、真実を述べ、何事も隠さず、偽りを述べないことを誓います」
宣誓をして、侑李への証人尋問が始まった。