第37章 Oath
俺を乗せた車が走り出すと、目の前に立ちはだかった鉄の扉が鈍い音を響かせ開いた。
何度かこの門を潜って来たけど、今日はその時とは心持ちが違う。
翔に会える…それだけで確かに心は踊る。
でもそれだけじゃない、緊張感のような…何とも言えない感情が俺の中を駆け巡る。
この裁判が終わった時、俺はどうなっているんだろう…
晴れて自由を手に入れることが出来るのだろうか…
それとも、あまり考えたくはないが、再びこの門を潜り、高い塀の中に舞い戻ることになるのか…
出来ることなら前者であって欲しいが…
やがて車は山間の町を抜け、目隠しを施された窓越しに見える景色は、都会のそれへと変化していった。
その時になると、俺の緊張感は更に増して行き、鎖で繋がれた二つの輪がカチャカチャと音を立てた。
「どうした、大丈夫か?」
両サイドに陣取った刑務官が、徐々に強ばって行く俺の顔を覗き込んだ。
「あ、ああ…、大丈…夫…」
何とか声を絞り出し、頷いて見せるけど、両手の震えが止まることは無く、俺は瞼をギュッと閉じて、何度も深呼吸を繰り返した。
大丈夫、俺はそんなに弱くない筈だ。
今までだって何度も悪夢のような出来事にも耐えて来たんだ。
今更何が起きたって…、どんな判決を下されたって、恐ることはない。
そうだろ…翔…
なのにさ、なんでか分かんねぇけと…
どうして俺こんなに震えてんだろう…