第5章 Rule
「暴れんじゃねぇぞ?」
薄闇の中、松本の口の端がニヤリと上がった。
「…ヤレ…」
松本の声と同時に、二宮が動き出す。
恐怖に震える俺の身体を背後から羽交い絞めにされ、口を塞いでいた二宮の手が俺の寝巻のボタンを外しにかかる。
寝巻の前を肌蹴られ、露わになった素肌に松本の視線が絡み付く。
「綺麗な身体してんじゃねぇか。…ん?」
松本が俺の前にしゃがみ込み、顎に手をかけられる。
無理矢理上向かされた頬に、松本のざらついた舌が這う。
いやだ…
やめろっ…!
噛み合わない歯が、ガチガチと音を立てる。
「こんなに震えちゃって、可愛いですねぇ?」
二宮の熱をもった吐息が俺の首筋を撫でる。
「楽しみましょ?」
後ろから回された手が胸の先をキュッと摘まむ。
「…んぁっ…!」
思わず漏れた声に二宮がククッと鼻を鳴らした。
「やっぱりね? 思った通りだ」
「あぁ、コイツ慣れてやがる」
違う…!
違う違う違うっ!
「オイ、マサキ。ンなトコでボケっとしてねぇで、お前も参加したらどうだ?」
視界の端でマサキが首を振る。
「オ、オレは…」
「…ったく、仕方ねぇなぁ…」
溜息混じりに松本が腰を上げると、部屋の隅で膝を抱えるマサキの手を引いた。