第35章 shrieking
翔から届いたと言う手紙には、俺の弁護を全面的に岡田に託すことと、俺の冤罪を晴らすための、確固たる証拠を手に入れるとだけ記されていた。
俺はそれが何を意味することなのか、全く分からずにいた。
でも…
翔が捕まったと聞かされてから数日後、俺の元を再び訪れた岡田が告げた一言で、俺は漸く全ての意図が読み取れた。
「決定的な証拠が手に入った。これでお前の再審請求も通る筈だ」
岡田は表情にこそ出しはしなかったが、かなり自信のある口振りでそう言った。
そして帰り際に一言、
「櫻井のことだけどな…」
言いかけると、急に顔を曇らせた。
「ああ…」
「深山っていただろ? 深山とアイツの上司がつくことになったから…」
「そっか…」
てっきり岡田が付くもんだとばかり思っていた俺は、思わず肩を落とした。
岡田のことは、翔の同僚としてだけじゃなく、弁護士としての腕も信頼していたから…
「おいおい、そうガッカリしなさんなって…。深山の上司な、佐田さんっていうんだが、元々は民事事件を得意とする弁護士なんだが、最近では刑事事件も扱うようになってな。二人に任せておけば安心だ」
それでも実刑は免れないだろうけどな、と付け足すと、岡田は深い溜息を一つついてから席を立った。
「なあ、実刑って…どれくらい…」
もし仮に、岡田の言う再審請求ってのがすんなり通ったとして、その後は…?
無事冤罪が晴れたとしても、俺と翔は…
再び同じ道を歩くことが出来るんだろんか…