• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第5章 Rule


夕食が終わると、受刑者達が続々と談話室へと集まり出す。

俺もマサキに引き摺られるように、グレイ一色に彩られた談話室へと入った。

「一体これから何が始まるの?」

「テレビだよ。一時間だけだけど、テレビが見られるんだ」

マサキが嬉しそうに答える。

「見れる番組も限られてるんだけどね?」

たった一時間…

それだけのために集まってくる受刑者たち。

その中に当然だが、松本と二宮の姿もあった。
二人でチラチラと目配せをすると、二宮が刑務官の元へと歩み寄った。

二宮が刑務官に耳打ちをすると、刑務官の視線が一瞬俺に向けられる。

「サトシ、何があってもあの二人には逆らっちゃだめだからね」

二人の様子に、何かを感づいたマサキが、真剣な眼差しで俺を見下ろす。

「絶対だからね? 逆らったら懲罰になっちゃうんだからね?」

何度も繰り返されるその言葉の真意も分からないまま、俺は無言で頷いて応える。

懲罰なんか食らったら、刑期が短くなるどころか、伸びる可能性だってない訳じゃない。

翔がまた遠ざかる…

それだけは何としても避けなければならない。

俺は握った拳にグッと力を込めた。

何があっても耐えて見せる…
何が起きても…

全ての感情に蓋をしてしまえば…


でもそんな俺の覚悟は、一瞬粉々に砕け散った。
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp