第33章 Scheme
「ちょ、ちょっと待って? 智君はどうして彼女が身体を売ってると…?」
「それは…、森田から結へ送られたLINEのメッセージを見たことがあって…」
勿論見たくて見たわけじゃない。
たまたま…、だったんだ。
一緒に飯食いに行った時、結が席を外して、その時にな…
「そこには何て…?」
全文が表示されていたわけじゃないが、確か…
「待ち合わせに使うホテルと、相手の名前…だったと思うけど…。尤も、相手の名前までは分からないけど…」
ただその後も、何度か同じような内容のメッセージが送られて来ているのは確かだ。
毎週火曜日、必ず決まった時間に結のスマホは鳴ってたから…
「で、でもっ…! それだけじゃ殺す理由には…」
「ああ、ならないだろうな…」
あの日、結が殺されたあの日、結は電話で俺に話があると言ってきた。
その時は、俺も名目上は結の彼氏だったわけだから、当然そういう関係になることも覚悟の上で、結の部屋を訪ねた。
でも森田が来るとは、聞かされていなかったし、突然訪ねて来るなんてことも思ってもなかった。
友達とは言え、女が一人暮らししてる部屋に訪ねるなんて、俺には考えられなかったからな…
結局結が俺に何を話したかったのかは、森田が来たことによって聞けずじまいになっちまった。
でもただ一つ…
「結は、俺に恋人がいることを知っていたみたいなんだ。…それも男の、な…」
結がどうやってその情報を知り得たかは、俺には分からないけど…