第33章 Scheme
俺の話を聞きながら、翔は何度も首を振った。
信じられない、と呟きながら…
でも何かを思いついたのか、パッと顔を上げると、潤んだ目で俺を見た。
「じゃ、じゃあ、結さんは…? どうして殺されなきゃならなかったの?」
「それは…」
「もういいでしょ? 俺に全部打ち明けて?」
「…分かった。でも、俺も全部を知ってるわけじゃないから…」
それでもいいから、と翔は俺の肩を強く抱きしめた。
俺は翔の肩に頭を乗せると、今にも襲って来そうになる睡魔を堪えて、記憶の糸を手繰り寄せた。
俺が出会った頃、結には他に好きな奴がいたんだ。
それが森田だったんだ。
二人がどこでどう知り合ったのかは、俺も知らない。
ただ森田は結が自分に気があることを知りながら、俺を紹介した。
多分脅されてたんだと思う…結は森田に…。
「何で…? 何で森田は結さんを…?」
「それは俺も知らない。ただ、結は自分の過去を酷く悔やんでいたのは事実だ。消せるもんなら消してしまいたい、と何度も言っていたから…」
恐らく森田は結の“過去”に関して何かを知っていたんじゃないかと思う。
結は森田の言いなりだったんだ。
森田は喜多川に指示されるまま、結に身体を売らせていた。
俺が想像するに、森田には喜多川に逆らえない事情があったんじゃないかと思うけど…