第33章 Scheme
翔の目が見開かれる。
考えていることは同じ、ってとこだろうな…多分。
俺は翔との関係は元より、女には興味が持てないことだって、会社はおろか知り合いにだってずっとひた隠しにしてきたんだ。
俺が男しか…翔しか愛せない、所謂ゲイだってことは、誰も知らない筈なんだ。
ただ一人、あの人を覗いては…
だとすると、情報源は“あの人”しか考えられない。
尤も、結と“あの人”の間に、直接関わりがあったかどうかは分からないけど…
もし…万が一関わりがあるとしたら…
「あの人が結さんの客だった、ってことは…? 考えられない?」
「その可能性は、俺も考えなかったわけじゃない。でも、仮にそうだったとして、証拠がある訳じゃない。それに、結が殺されなきゃならなかった理由は、それだけじゃないと思うんだ」
何せあの人は喜多川と深く関わっていたようだから…
「なあ、結の携帯は? 当然証拠として押収されたんだろ? だったら…」
詳しくは知らないが、通話履歴ってやつを調べたりするのを、ドラマかなんかで見たことがある。
「それが…」
俺の問いかけに、翔は瞼を伏せて首を横に振った。
「俺が聞いてる限り、彼女の携帯が押収された事実はないんだ。ついでに言えば、契約上の個人情報も、どういう訳だが開示の許可が下りなかった」
「…そっ…か…」
携帯さえあれば、もしかしたら重要な手がかりになったかもしれないのに…