第33章 Scheme
気付いた時には、俺は提示された条件に頷くしかなくて…
「今思えば、俺はまんまとアイツらのやり口に乗っかっちまった…ってわけだ…」
「そん…な…。人の弱みに付け込むなんて、そんなの汚いよ…」
翔にしてみたらそうかもしれない。
何たって人間の綺麗な部分だけを見てきたんだから…
でも俺は違う。
人がどんなに汚い生き物なのか、散々思い知らされながら生きてきたんだ。
だから“あの人”が俺に対して条件付きの弁護を申し出て来たのも…分からなくもない。
結局は俺をこの世から抹殺したかったんだ…、そう分かったのは、母さんの訴えも虚しく、情状酌量も執行猶予も得られないまま、十数年の懲役刑が下された時だった。
「じゃあ…、智君のお母さんは今…?」
「ああ、どこだかは知らないけど、女子刑務所に収監されてるよ」
きっと二度と会うことはないだろうけど…
「で、でも俺達が智君の弁護を申し出た時、あの人の名前は…」
そりゃそうだ…
あの人は俺が罪を認めた途端、俺の弁護からは手を引いたんだから…
まさかその直後に、岡田と翔が名乗りを上げるなんて、きっと思ってもなかっただろうけど。
「その後のことは…お前も知っての通りだ」
あの人は松本を使って俺を襲わせ、森田を使ってマサキを唆した。
俺に使ったのと同じやり口でな…