第33章 Scheme
「何で…そんなことを…?」
見返した俺の肩を、翔の腕が抱き寄せ、静かに瞼を伏せた。
「ねぇ、智君? 俺はね、全部知りたいんだ。君がどうして囚われなくてはならなかったのか…。何のために君が…俺に嘘をついているのかを…」
その言葉に俺の鼓動が跳ね上がる。
翔は瞼を開くと、微かに潤んだ瞳を揺らし、小さく首を横に振った。
「ごめん…、質問変えるね? 最初に智君が逮捕された時、嘘の供述を強要された記憶は…?」
今にも泣き出しそうな顔に、無理矢理笑を浮かべ、穏やかな口調で一つ一つ確かめるように言葉を紡ぐ。
「それは…」
「あったんだね?」
返す言葉に詰まる俺を、翔の弁護士然とした顔がすかさず覗き込んだ。
「言って? 何て言われたの?」
「言いたくない…」
思わず視線を逸らした俺の肩を、回した翔の腕が揺らした。
「大事なことなんだ。教えてくれないか? 何を条件に虚偽を強要されたの?」
見開いた翔の目から、とうとう涙が零れ、俺の手の甲にポツリと落ちた。
それでも俺は首を横に振ると、翔の腕から逃れるように両足をベッドの下に下ろした。
「悪ぃ、いくらお前でも言いたくない」
「それは…俺のことを思って…なの? 俺が傷つくと思ってるから? だったら…!」
「ああ、そうだよ! 俺は…もうこれ以上お前を苦しめたくないんだよ…」
だから…
分かってくれよ、翔…