• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第33章 Scheme


「少しだけ…事件の事について聞いてもいい?」

「今…?」

俺の問いかけに、翔が俺の頭を撫で、コクリと頷く。

出来ることなら、ここにいる間は、事件のことを思い出したくはないけど…

「今じゃないと駄目なこと…なのか?」

「出来れば二人だけの時に、と思って…」

翔のことだ、きっと何か考えがあってのことだろう。

「分かった。で? 俺に聞きたいことって?」

俺は翔の胸に預けた身体を起こし、翔と同じようにベッドヘッドに背中を凭せ掛けた。

翔の手が自然と俺の手に重なった。

「智君は何を知ってるの?」

「何を、って…?」

ふざけるわけでもなく聞き返した俺に、翔が困ったように眉を下げる。

「そうだな…、例えばだけど、喜多川が裏で何をやっていたのか、とか…かな…」

「そのことなら、侑李の件で…」

喜多川が、侑李達児童養護施設の子供達に売春をさせていたのは、翔だってもう知っている筈だ。

なのに何故今更…

「そうだったね。じゃあ、それ以外には? 侑李君の事件は、簡単に揉み消しが出来るような、簡単な事件じゃなかった筈だ。恐らく、誰かが裏で糸を引いていたとも考えられるんだけど、智君に心当たりは?」

俺の手に重なった翔の指先が、心做しか震えているように感じるのは、俺の気のせいだろうか…
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp