• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第33章 Scheme


翌朝、約束通り朝一でやって来ると、まだ微睡みの中にいる俺の頬に手を滑らせた。

…時間に正確なとこは昔っから変わってねぇな…

「良く眠れた?」

「まあ…な…。お前は?」

「俺? 俺は…そうでもないかな…」

眉尻を下げて、困ったように笑う目の下には、昨日は気付かなかったけど、くっきりと隈が出来ている。

俺のせいだ…

翔はハッキリとは言わないけど、翔が俺のために疲弊しているのは、その様子を見ていれば分かる。

済まない…

心の中で呟く言葉は、決して声にすることはしない。

翔が嫌がるのを知ってるから…

「あ、もうそろそろ東山先生と井ノ原先生が回診に来る時間だよ? 起きて?」

「別に回診なんて必要ねぇよ…」

重病人ならともかく…

「駄目だよ。ここにいる間は、ちゃんと先生方の言うこと聞かないと…。ほら起きて?」

…ったく、お前は俺の母ちゃんかよ…

って言っても、俺に母ちゃんの記憶なんて、殆どないけど…

「分かったよ、起きるから…。但し、キスしてくれたらな?」

俺を見下ろす翔の首の後ろに手を回して、顔を引き寄せた。

翔の目が、一瞬驚いたように揺れた。

でも、

「そうだね、お姫様は王子様のキスで目を覚ますんだもんね?」

クスッと笑った翔の顔が降りてきて、俺の唇に翔のそれが重なった。

…つか、お姫様なんて柄じゃねぇし…
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp