第33章 Scheme
「智君、起きて?」
翔の声で目が覚めた。
一瞬、そこが自分の部屋のような錯覚に陥りそうになる。
でも徐々に冴えていく視界と頭に、そこが鉄格子に囲われた病室だと気付かされた。
「俺…どうしたんだっけ…」
「覚えてない…よね? ごめんね、俺が無理させちゃったせいで…」
俺の頬を撫でながら、翔が申し訳なさそうな顔で俺を見下ろす。
ああ、そうか…
何度目かにイッた時、突然目の前が真っ白になって、それでそのまま…
「お前のせいじゃないよ…。俺も…だったし…」
思い出しただけで顔が熱くなる。
こんな感覚、久しぶりだ…
「あ、そうだ。お腹、空いたでしょ? 食べよ?」
翔がトレーが二つ並んだ可動式のテーブルを引き寄せた。
「なんかさ、俺の分まで用意して貰っちゃって、申し訳ないな…」
「遠慮することねぇよ…。食おうぜ?」
どうせ東山が手を回してくれてんだろうから…
俺達は二人で向き合って箸を手にした。
「頂きます」
すっかり冷めてしまった、薄くて味気ない味噌汁を啜る。
これならまだムショで出される飯の方が、数倍マシだ。
なのに何でだろう…
美味くもないのに、今日は美味く感じる。
翔が目の前にいるから…だろうか…