第33章 Scheme
翔の逞しい腕が俺を強く抱き締める。
ちょっと苦しいけど、その苦しささえ今の俺には喜びで…
「何だよ、まだシ足りないのかよ…」
揶揄うように言うと、俺の肩口に埋めた翔の首がコクリと頷いた。
「マジ…で…?」
「うん、マジで…。ダメ…かな…?」
ダメじゃないけど…
俺だって出来ることなら、今まで欲しくても叶わなかった翔の体温を、少しでも長く感じていたい。
でもこれ以上は俺…
「声…抑えんのけっこうキツいんだけど…」
いくら締め切ってあるとは言え、あまり大きな声を出せば…しかもあんな声…聞かれたら、それこそ看守に大目玉食らい兼ねない。
そしたらこの時間は…翔との幸せな時間は終わってしまう。
それだけは…いやだ…
なのに翔と来たら、俺の顔を見るなり、小刻みに肩を揺らし始めた。
「智君、もしかして本気にしてたの? だったら心配いらないよ? ここの看守? 皆東山さんだっけ…あの人に弱み握られてるみたいだから…」
「は? なんだそれ…」
「だから安心して?」
意味…分かんねぇよ…
「なあ、それって俺がアイツらに騙された、ってことか?」
「騙されたとは違うけど、遠からず…って感じかな?」
クッソ…
アイツら絶対許さねぇ…
でもこれで思う存分楽しめると思えば、それも悪くねぇか…
「こいよ…、翔…」
俺は翔に向かって両手を伸ばした。