第32章 Result
「結果報告書、デスクの上に置いておきました」
事務所に戻った俺達に、待ち兼ねたように事務員の女性が声をかけてきた。
「ああ、すまんな…」
岡田は軽く返すと、コートもそのままに、デスクに鞄を置き、代わりに封筒を手にした。
「開けるぞ?」
俺が頷いたのを見て、岡田が封筒に鋏を入れる。
どうか…
どうか、俺達の望んだ通りの結果を…
俺はその光景を、祈るような思いで見つめていた。
そして封が切り落とされた瞬間、俺はゴクリと生唾を飲み込んだ。
緊張しているのか、拳を握った手に汗が滲む。
「どうする? お前、先見るか?」
「いや…、頼む…。それに、担当弁護士はお前だろ、岡田」
自分で結果を目にすることが怖いからって…
都合のいい言い訳だな…
「分かった。じゃあ、開くぞ?」
「ああ…」
岡田が冊子の表紙を捲る。
一枚、二枚と捲って行き、そのうちページを捲る岡田の手がピタリと止まった。
「な、なんて書いてある…?」
「焦るな…」
ページを捲った冊子を、岡田がデスクの上に広げた。
「いいか? ここを良く見てみろ…」
「あ、ああ…」
頷くものの、焦りなのか、それとも緊張からなのか、どれだけ目を見開いてみても文字が霞んでしまって、よく見えない。
俺は一瞬天を仰ぎ、深く息を吸い込んだ。
もしそこに書かれているのが“se”ならば吉…
逆に“Se”であれば凶ということになる。
俺は閉じた瞼をゆっくり開き、結果報告書に視線を落とした。