第32章 Result
長野刑務官がゴクリ、と息を飲む音が聞こえた。
そして口元を手で覆うと、
「これは酷い…」
そう言ったきり、ファイルから視線を逸らし、長野刑務官は押し黙った…と、言うよりは言葉を失った。
それも当然だ。
俺だって最初この写真を見せられた時は、目の前が真っ暗になったぐらいだから…
「この写真は、実は相葉雅紀との騒動があった直後、彼…大野智が病院に運び込まれた際に撮られた物なんです」
細い手首に残る、明らかな高速の痕と、秘部に至るまでまでの鬱血痕…
目を背けたくなるもなるだろう…
「これを…坂本刑務官が…? そんな…まさか…」
考えられないと言った様子で長野刑務官が何度も首を横に振る。
出来ることなら俺だって信じたくはなかったさ…
こんな酷い(むごい)仕打ちを、愛する人が受けていたなんて…
「何かの間違いでは? 坂本刑務官がそういった趣味の持ち主だなんて、噂にも聞いたことはないし…」
「間違いであって欲しい、と俺達も願っていたんですがね…。目撃証言もあることですし…」
「一体誰が…」
「松本潤です。彼は大野と一緒に懲罰刑を受けた際、坂本刑務官が大野に対して、性的暴行を加えている現場を目撃しているんです」
岡田が松本の名を口にした瞬間、長野刑務官は大きく目を見開いて、崩れるようにしてソファーの背に深く身を預けた。