第32章 Result
「やはりな…。睨んだ通りだったか…」
岡田が長く息を吐き出し、薄らと生えた無精髭を手のひらで撫でた。
「ひょっとしたら喜多川の奴らとも…?」
「その可能性はゼロではないだろうな…。現に森田は喜多川の人間だからな…」
なるほど、そうか…
仮に坂本刑務官が喜多川と水面下で繋がっていたとしたら、当然森田とも…
「もう一つお聞きしたいんですが…いいですか? 勿論、答えられる範囲で構わないので…」
勿論と答えてから、長野刑務官は姿勢を正した。
「坂本刑務官が、何らかの薬物を服用していた可能性は? 何でもいいんです、例えば…睡眠導入剤、とか…」
その問に、長野刑務官は一瞬天を仰ぐと、思い出したように手を叩いて、身を乗り出した。
「一時期眠れない日が続いている、と頻繁にボヤいていたことがあります。俺達みたいな仕事をしていると、案外多いんですよ…。不規則だし、何より精神的にやられることもありますから…。坂本刑務官もそれで病院から睡眠薬を処方して貰った、って話は聞いたことがあります」
思わず岡田と顔を見合わせる。
すると岡田が何かを確信したように小さく頷き、湯呑みを脇に寄せると、そこに鞄の中から取り出した資料を挟んだファイルを置いた。
智君の…あのレイプ痕の残る身体を撮影した写真を広げて…