第31章 Friction
予定通り、正午を少し過ぎたところで岡田の家を出た。
深山さんとの待ち合わせ場所には、お互い自分の車で迎うことにした。
と言っても、待ち合わせの場所は、茂さんの店なんだけど…
茂さんには申し訳ないが、あの店なら人の出入りは少ないし、何より茂さんの口が硬くて助かる。
俺は一旦自分のマンションに戻ると、これまでに纏めた公判資料と、俺達が独自に調べあげた調書を持って、再び車に乗り込んた。
途中、岡田から到着を知らせるメッセージが送られてきたが、俺はそれに返信することなく車を走らせた。
そして事務所が借りている駐車場ではなく、少し離れた場所にあるコインパーキングに車を停め、茂さんの店に向かった。
店のドアを開くと、茂さんが待ち兼ねたように、視線だけで奥の席へと促した。
そこには、岡田と深山さん、そして見知らぬ顔の男が座っていて、
「お待たせしてすみません」
俺は軽く頭を下げると、岡田の隣に腰を下ろした。
「あー、こちら副検事の小栗さん。で、こっちが櫻井さん」
深山さんから紹介され、俺達は互いに頭を下げると、名刺を交換した。
「じゃあ、早速だが…。小栗さん、あなたは今回の件をどこまで?」
岡田の問いかけに、小栗さんが開いた両膝の上で両手を組み、少しだけ身を乗り出した。