第31章 Friction
客間に敷かれた二組の布団に、二人並んで横になる。
あれっきり岡田が口を開くことはなく、部屋の灯りを消した後も、俺達の間には気まずい空気だけが流れた。
怒っているだろうか…
岡田の心を弄ぶようなことをした俺に…
だとしたら…
「起きてる…か…?」
恐る恐る隣りの岡田に声をかける。
「ああ、起きてるよ…」
その一言に、俺はホッと胸を撫で下ろす。
「さっきは、その…済まなかった」
「別にかまわんよ。ただな、アイツを悲しませるような真似は、二度とするな」
「うん、分かってる。もうしない…」
岡田…、お前を苦しめるような真似もな…
「ならいい。もう寝ろ」
「ああ、そうするよ…」
流石に今日は疲れた。
身体が、じゃなくて心が押しつぶされそうなくらいに、酷く…
「なあ、岡田…」
「……………」
俺の呼びかけに、岡田は応えることをしない。
「なんだ…寝たのか…」
酒には滅法強い岡田だけど、今夜は結構飲んでたからな…
無理もないか…
「なあ、岡田…。お前なら…どうする…?」
もしも…
もしも信じてた人に、最も残酷な方法で裏切られていたとしたら…
お前なら…どうする?
俺は今にも零れ落ちそうな涙を、岡田に気づかれないように、そっと拭った。