第30章 Suspicion
決定的とも言える、マンションの防犯カメラの映像が入手出来なかったことで、俺達は次の手に打って出ることにした。
まずは、好運にも俺の部屋に残されていた、智君が事件当日に、管理人の奥さんから譲り受けたとされる漫画雑誌の指紋採取の依頼。
そして、重要参考人にもなり得る森田との接見。
これには岡田と深山さんが、森田が留置されている拘置所に出向いて行った。
本当はこの目で、森田と言う男の顔を見てみたかったが、智君と交友関係にあった以上、もしかしたら俺の存在を知っているかもしれないという、岡田の判断だった。
勿論、俺もその間休んでいるわけではなく、森田と喜多川建設との関係、そして喜多川建設と児童養護施設との関係の調査を買って出た。
ネットを駆使した調査には、割りと自信がある。
中でも最も気になっていた、伊藤結と森田との関係を最優先に調べ上げることにした。
これには流石に“ネット”で、という訳には行かず、俺は彼女の住んでいた部屋…つまり殺害現場となったアパートの住人を尋ねることにした。
そこで分かったのは、森田が頻繁に彼女の部屋に出入りしていたという事だった。
アパートの住人の、何人かが証言しているのだから、おそらくは確実だと思われた。
だとしたら、森田と彼女との関係は…?
年若い女性が、恋愛関係にない男性を、一人暮らしの部屋に招き入れるなど、凡そ考えられない。
あの二人は、恋愛関係にあった…と、考えるのが妥当なのだろうか…