• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第30章 Suspicion


部屋に入ると、鞄をソファーに置き、シャワーを浴びた。

熱い湯を頭からかぶり、全身を洗い流すと、身体に溜まっていた疲れも一緒に流れて行くような気がした。

火照った身体にバスタオルだけを巻き付け、キッチンへと入ると、随分前に買っておいたビールを開けた。

岡田には悪いが…いいよな、少しだけなら…。

缶ビールを手にソファーに座ると、鞄の中から愛用のタブレットを取り出し、電源を入れた。

これまでの公判資料も、新たに作成した資料も、全てデータは入力済だ。

後は明日、これを元に智君と…

智君の口から何が語られるのか…

想像すると不安が全く無いわけではないが、でもそれも俺達のこの先の未来を考えれば、何も怖くはない。

そうだ…、俺達には岡田という心強い味方もいる。

それに長瀬さんだって、侑李だって…
井ノ原先生や長野さん…そして松本。


俺達は一人じゃない。

そうだろ、智君…。



朝、いつもよりも早めにセットしたアラームで目を覚ました俺は、冷たい水で顔を洗うと、いつもはセットしない髪を、ジェルで固めた。

丁寧に髭を剃り、着替えを済ませると、カッターシャツの襟元にネクタイを通した。

俺が今の事務所に就職を決めた時、智君と一緒に選んだ赤地にブルーの細いラインの入ったネクタイ。

このネクタイを、彼は覚えているだろうか…
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp