• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第29章 Rouse


ギシギシと音を立てる、安っぽいベッドの上で膝を抱える。

窓の外を染めていた茜色は、いつしか闇の色にすっかり様子を変えていた。

はこばれた食事には手を付けず、ただただ爪を嚼み、纏まらない思考に頭を巡らせる。

森田が結を殺した理由…

それがどうしても分からない。

もし俺に恨みかあるのなら、こんなまどろっこしい手を使わなくても、俺を殺せば済むことだ。

もっとも、 俺には森田から恨みを買うような覚えは、一切ないが…

でも結は殺され、俺はこうして生きながらえている。

仮に…もし仮に、結と森田が最初っからグルだったとしたら?

考えたくはないが、可能性がないわけじゃない。

だとしたら、俺は二人にとって邪魔な存在でしかなかった筈だ。

森田が俺を疎ましく思うのも頷ける。

でもそんな簡単な理由で?

それに仮にそうだったとしても、そこに結が殺されなきゃならない理由は見つからない。

俺を消して、二人でよろしくやればいいんだから…

それに最後に見せた結のあの顔…

今にも泣き出しそうな、苦悩に満ちたあの顔…

そして小さく動いた唇…

「ごめんね…」

確かに結はそう言った。

森田に気取られないように、濃いピンク色に塗った唇を僅かに動かして…

あの言葉の意味は何だったのか…


結…お前は俺に何を伝えたかったんだ…
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp