• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第4章 Confusion


「離せって…」

「お前が行った所で、アチラさんは真面に取り合ってはくれんよ?」

岡田の言う事は尤もだけど、でもそれじゃあ俺の気が済まない。

「じゃあどうしろって言うんだ? このまま指咥えて見てろって? 俺はそんなのごめんだね!」

ありもしない証拠を並べ立てられて、このまま泣き寝入りなんて、出来るもんか…

「分かった、分かったから、少し冷静になろうぜ? な、櫻井?」

「俺は冷静だ!」

そう、俺は至って冷静だ。
いや違うな…
冷静にならなきゃ、って必死で自分に言い聞かせてる。

「お前はそのつもりかもしれんがな…」

見てみろ、と岡田の目が周りをグルッと見渡す。

「あっ…」

俺が視線を向けた途端、思い出したように弁護士料に目を移す先輩弁護士や女性事務員。

「な? ちょっと外出るか?」

岡田の腕が俺の肩に周り、俺はそのまま岡田に引きずられるように事務所の外に出た。



事務所があるビルを出ると、冷たい風が俺達の横を通り抜けた。

「寒っ…! おい櫻井、コーヒーでも飲むか?」

俺達は寒さを凌ぐため、隣のビルにある喫茶店へと入った。

「やあ、いらっしゃい。今日は寒いなぁ…」

マスターの茂さんが、ポットを片手に人の良さそうな笑顔で俺達を出迎えてくれた。
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp