第1章 Falldown
結審から数日後、俺の収監が決まった。
俺はまた手錠と腰紐に繋がれ、今度は刑務所行きのバスに乗せられた。
目隠しをされた、薄暗い車内。
前と違っていたのは、そこにいるのが俺だけじゃない、ってことだけ。
俺以外にも数人が同じバスに乗せられた。
目的地が同じなのかは、俺の知るところじゃないが、どの顔を見ても遠足気分でない事は容易に判断出来た。
バスに揺られること数時間…
漸く目的地に到着したのか、バスが停まった。
刑務官が次々番号を読み上げていく。
そして…
「1513番、立ちなさい」
俺の番号が呼ばれた。
俺は立ち上がり、バス内の狭い通路に出た。
そこには既に数名の、所謂“受刑者”達が並んでいて、それぞれの腰に括り付けられたロープが繋がれた。
数珠繋ぎにされた俺達は、刑務官の指示の元、無言でバスを降りた。
全体的にグレーで覆われた無機質な空間に、そこがもう外界とは違う世界なんだと気づかせる。
ここではもう、自由に息をすることすら許されないのかもしれない、俺はこの瞬間そう思った。
ふと後ろを振り向くと、鉄で出来た分厚い扉と、反り立つ高い塀。
周りの景色すら見ることの叶わない、隔絶された世界。
次にここを潜るのは15年後…
俺はその漠然とした数字に、ただただ零すことの許されない溜息を飲み込んだ。