• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第1章 Falldown


法廷を出た俺は、来た時と同じバスに乗せられ、拘置所へと運ばれた。

窓には目隠しがしてあって、外の景色を見ることすら叶わない。

俺は静かに目を閉じた。

閉じた瞼に浮かぶのは、翔の涙。

あの涙は俺を守りきれなかった、翔の罪悪感が流させた涙だ。

翔は弱いからな…

そんなことを思っていたら、笑いすら込み上げてくる。

「静かにしなさい」

感情のない声が俺を咎めた。

俺にはもう、笑うことすら許されない。

この両手に嵌められた手錠は、動きだけじゃなく、俺の感情さえも拘束してしまう。

〖強盗強姦致死罪〗
それが俺に与えられた“罪状”。

強盗に入り、強姦した上に、殺した…

罪を犯した代償は“15年の禁固刑”。
最も重い刑が、俺には科せられた。

それでも“死刑”にならなかっただけましなのか…

それにしたって15年は長い。

そもそも俺は罰せられなきゃいけない“罪”なんて、犯しちゃいないんだから…

無実を訴えることは出来た。
でもそれをしなかったのは、翔のため。

弁護士である翔の立場を守るため。

犯してもいない罪に問われ、俺は“刑務所”と言う、世俗とは隔絶された世界に送り込まれる。

翔とももう会えなくなる…

これから待ち受けることなんて、全く想像もしていなかった俺は、ただ一つそれだけを悔やんでいた。
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp