第28章 Regret
相葉雅紀からの手紙には、移送されてからの生活について、便箋二枚に渡って延々と書き連ねられていて…
取り留めのない日常が垣間見れる、そんな内容の文章だった。
でも、最後の一枚に目を通した時、俺は激しく動揺した。
そこに書かれていたのは、彼が如何に智君を思っていたのか…何故彼が智君を許すことが出来なかったのか…
そして智君に対する謝罪の言葉…
彼…相葉雅紀は、偽りなんかではなく、心の底から智君を愛していた。
智君が、彼の義妹の事件の関係者だとは知らずに…
でも彼は真実を知ってしまった。
手紙には、その時の苦しい胸の内が綴られていた。
所々、涙…だろうか、文字を滲ませながら…
「おい、無事か?」
俺の心中を察してか、岡田が揶揄い気味に言う。
「ああ、なんとか…な…?」
「そっか、なら良かった。で、手紙には何て?」
「いや、取り立てて証拠なのなるようなことは何も…。ただ…」
「ただ、何だ?」
先に続く言葉を躊躇う俺を、丁度タイミング良く…なのか、信号でブレーキを踏み込んだ岡田が覗き込んだ。
「実はさ、ずっと気になってたんだけど…。相葉雅紀は、どうやって智君が事件の関係者だと言う事を知ったんだろう…」
いくら被害者の家族だとは言え、そう簡単に知り得る情報でもないし、まして特定することなんて…
不可能に等しい筈だ
何者かが…
事件の真相を知る何者かが、彼に情報をリークしていた…?
そう考えるのが、妥当なのだろうか…