第28章 Regret
もし…、
もしも、実際に森田とその弁護士との間に繋がりがあったとして…松本代議士が何故?
松本代議士と、例の弁護士は旧知の間柄だと、松本潤は確かに言った。
だが松本代議士と森田の間には、今の所これといった関係性は、見えては来ない。
だとしたら、考えられるのは…
「これはあくまで“仮説”なんだけど…。君のお父さん…つまり松本代議士と喜多川建設の間には、何らかの関係があった、とは考えられないだろうか?」
建設会社の多くは、所謂暴力団組織との癒着は勿論のこと、政治家と密な関係を持っていることは、往々にしてあることだ。
そう考えれば、納得は出来ないまでも、合点はいく。
それに侑李の起こした件に関しても、代議士が絡んでいるとなれば、余程大きな出版社でなければ、手を回して揉み消すことだって可能だ。
いや、代議士が絡んでいるからこそ、揉み消さなければならなかった…ってことだって有り得る話だ。
「喜多川建設と松本代議士の関係か…。それは確かに調べてみる価値はあるかもしれんな。よし、深山が戻ったら、一度調べて貰うよう、頼んでみよう」
黒いペンから赤いペンに持ち替えて、岡田が手帳にメモをしてから、漸く手帳を閉じた。
丁度その時、工場のシャッターが、不気味な程の金属音を響かせて開いた。