第28章 Regret
ゴクリ…、と誰かの息を飲む音が聞こえた。
それ程、タブレットに映し出された画像は、思わず目を覆いたくなる物ばかりで…
実際俺自身も、資料として受け取ったその時に一度目したきりで、それ以降はフォルダを開くことすらしてこなかったくらいだ。
「どうだ、話してくれるか?」
これでだめなら…俺はどうしたらいい…?
額から一筋の汗が流れたその時…
松本がそれまで固く握り締めていた拳を解き、綺麗に剃り上げられた頭を掻き、
そして、
「頼まれたんだよ…、刑期短くしてやるから、アイツのこと痛めつけろ、ってな…」
吐き捨てるように言った。
「それ…は、誰に…?」
「知らねぇよ…。ただ、弁護士であることは間違いねぇがな…」
俄に信じ難い話に、俺は隣の岡田と顔をみあわせた。
確かに、受刑者との取り引きをする弁護士がいないわけじゃない。
なんなら受刑者と刑務官の間にだって、実際にそういった取り引きが行われた事実がある。
でも…、何故智君を…?
「そ、その…、弁護士の名前は? 他に何か言ってなかったか?」
「名前なんて覚えちゃいねぇが、親父とは長い付き合いだとは言ってたな…。もっと、俺はその顔に見覚えはねぇが…」
「だったら、松本代議士の身辺洗ったら、その弁護士さんとやらが誰なのか、浮かんで来るんじゃないか?」
思わぬ所から見えてきた“糸口”に、俺達は大きく頷いた。