第27章 Face
「あっ、でも僕だけじゃアレなんで、侑李君と一緒に…どうですか?」
もし放火犯が長瀬さんと関わりのある人物であれば、侑李が同行しても不足はないだろう。
「そうだな…。じゃあ深山、頼めるか?」
「任せて下さい。さ、侑李君行こうか?」
「えっ、あ、はい」
手にしていたトレーを慌てて事務机の上に置くと、侑李はバタバタと支度を始めた。
「侑李、頼むな?」
長瀬さんの無骨な手が侑李の細い肩を掴む。
「はい。僕がお義父さんの役に立てるかは分かんないけど…」
「大丈夫だ。しっかり顔拝んで来いよ?」
侑李は大きく頷くと、もう既に準備を終え、部屋の入り口に立っていて深山さんに駆け寄った。
「お待たせしました」
「じゃあ、行ってきますね。何かあれば連絡します」
「ああ、宜しく頼むよ」
深山さんと侑李を送り出した俺達は、再び向き合って座った。
「なあ、さっきから気になってんだけど、アイツ…侑李っての? サトシと感じが似てんな?」
松本が目を細めて長瀬さんを見る。
言われてみれば、外見こそ似てはいないが、元々持っている空気感というか、雰囲気のような物が似ているような気がする。
「確かにな…。侑李は大野さんの弟分みてぇなモンだからな…。自然と似てくんだろ?」
長瀬さんが当然とばかりに声を上げて笑った。