• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第27章 Face


「そうか、君の話は大体分かった。では、質問を変えようか…」

そう言って岡田がそれまで松本に向けていた視線を、今度は長瀬さんに移した。

「さっきお聞きした話をしても?」

余程松本の話に聞き入っていたのか、急に振られて長瀬さんが慌てたように姿勢を正した。

「さっきの…ってのは…」

「彼を迎えに行く時、車の中で話てくれたことです」

「あっ、ああ、ええ、ええ、勿論ですとも。構いませんよ?」

長瀬さんが少々大袈裟なくらいに頭を振る。

その姿に、一瞬…だけど、その場の空気が柔らいだような気がした。

その時だった。

事務所の電話が鳴り響き、一番近くにいた侑李が受話器を手にした。

「もしもし…、あ、はい…えっと…ちょっと待って下さい」

侑李は保留ボタンを押すと、受話器を一旦事務机の上に伏せて置いた。

「誰からだ?」

長瀬さんが聞くと、侑李は複雑な表情を浮かべた。

「あの…、警察からで、面通しの件でって…」

松本の事で頭がいっぱいで、すっかり頭から抜け落ちていたが、放火犯が捕まったと連絡を貰っていた事を思い出した。

「そう言えばそうだったな…」

俺と同様、岡田もその事を忘れていたのか、髭を蓄えた顎を手で撫でた。

「あの、僕行ってきましょうか?」

名乗りを上げたのは、深山さんだった。
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp