第4章 Confusion
弁護士資格は取ったものの、弁護士事務所には所属していなかった俺は、古くからの友人で、俺よりも一足先に弁護士としての活動を始めていた岡田を頼った。
国選弁護を多く受け持つ岡田の事務所の方が、俺にとっても都合が良かったから。
何より、岡田は俺と智君の関係を知っている、唯一の友人だ。
こんな力強い味方は、多分岡田以外にはいないだろう。
当然のように親の後を継ぐもんだと思っていた両親は、落胆の色を隠せなかった。
親父に関して言えば、俺に裏切られたと言わんばかりの冷たい視線で、俺の人格を否定するような言葉を幾つも並べ立てた。
でもそんなのは、今頃厳しい尋問を受けているだろう智君に比べたら、比でもないことで…
智君を守るため…
その思いだけが俺を突き動かしていた。
岡田の事務所に入った俺は、警察からの国選弁護の依頼を迷うことなく引き受けた。
智君とは古くからの友人であることを隠して…
勿論、恋人関係にあったなんて知られないよう、慎重には慎重を重ねて…
俺と岡田は事件の証拠集めに奔走した。
中でも事件当日の智君のアリバイは最も重要で、証拠集めと同時に有力なアリバイを情報を手に入れるため、足を棒にした。
でも、そんなの見つかる筈がないんだ。
だって事件が起きた当日、智君は俺の部屋にいたんだから。