第27章 Face
それから大した会話を交わすこともなく、長瀬さんの向上に着いた俺達は、思いの外明るい顔の長瀬さんの様子に胸を撫で下ろした。
が、同時に、思った以上に酷い現場の惨状に、驚きを隠せなかった。
「出火元は?」
先に到着していた深山さんに、岡田が声をかける。
「どうやらココみたいですね」
深山さんが指さしたのは、通常廃棄物などを纏めておくコンテナで…
なるほど、その周辺だけが、黒く焼け焦げていて、そのすぐ横に停めてある、大型のワンボックスカーの助手席側のドアにも、所々焼けたような跡がみられる。
「こりゃ酷いなぁ…」
プラスチックの焼けた嫌な臭いに顔を背けながら、岡田が吐き捨てるように呟いた。
「いやー、でもまだこれで済んで良かったっすよ。もしコイツらに火ぃ点けられてたら、もっと大事になってましたからね」
珍しくスーツを着込んだ長瀬さんが、工場脇に積まれた一斗缶を顎でしゃくって、心底ホッとしたように肩を竦めて見せた。
「コイツらには作業用の油やら何やらが詰まってんでね…」
確かにこれだけの被害では済まないだろうな…
これだけの被害で済んだのは、不幸中の幸いといったところだろうか。
「犯人に心当たりはないいんですよね?」
岡田がスマホで現場の写真を撮りながら、長瀬さんに問いかけた。