第26章 Related
「では、長瀬さんは、大野の刑務所内での様子を…?」
決して答えを急かす訳では無い、岡田の落ち着いた声が長瀬さんに問い正した。
「ええ、まあ…そうなりますかね…」
何とも抜の悪そうな様子で、長瀬さんがそれまでピンと伸ばしていた背中を丸めた。
そして一呼吸置くと…
「最初は、ニュースを見ていて、コイツが“もしかしたら”って言うんでね? 色々“つて”って奴を駆使して…」
そう言って、隣に座る侑李の肩を叩いた。
長瀬さんの言う“つて”が裏社会との繋がりだと言うことは、長瀬さんの経歴を見れば歴然で…
それが侑李のためを思っての行動だったことも、その様子からも容易に見て取れた。
でも、ちょっと待てよ…?
「じゃあ、俺達が最初にここを訪ねた時、長瀬さんはもう?」
智君の置かれていた状況を、少なからず把握していたことになる。
だったらどうして…
「ええ、まあ…。ただですね、あん時は言い出し辛くて…」
そこまで言って、長瀬さんが顔を曇らせた。
余程俺達に…いや、俺に聞かせたくない話なんだろうか?
でも…、それでも俺は…
「話して下さい。知りたいんです。彼の…智君のことなら全部…」
今更何を聞かされても…、もう傷ついたりはしないから…