第26章 Related
「ん?」
真剣な表情で智君からの手紙を読んでいた岡田が、不意に首を捻った。
「どうした? 何か気になることでも?」
俺は岡田の手の中にある手紙を覗き込んだ。
「いやな、この“松本”ってのは…」
ああ、確かにさっきは嬉しいばかりで気付きもしなかったが、長瀬さん、侑李、その後に続くように“松本”と書いてある。
俺達は顔を見合わせると、ほぼ同時に正面に座る長瀬さんに視線を向けた。
長瀬さんも、俺達の視線の意味を察したのか、灰皿に煙草を揉み消すと、少しだけ前に身を乗り出した。
「松本ってのは、俺がムショにいた時に知り合った奴でしてね…。大野さんとは同房にいたんですよ」
長瀬さんがムショ帰りだと言う事は、以前にも聞いていたことだった。
でもまさか…
「偶然…だったんですけどね…。大野さんがあのムショに収監されたのは…」
そりゃそうだろう…
どこの刑務所に収監されるかなんて、最終的な審判が下らないと分からないことであって、当事者本人にだってそれはギリキリまで知らされない筈だ。
「まあ、俺もまさかとは思ったんですけどね…。で、たまたま松本の面会に行った時だったかな…、聞いてみたんですよ、大野さんのことを…。そしたら同房だって言うじゃないですか…」
長瀬さんはオーバー過ぎるほど、長い手をで身振りを交えながら言った。