• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第4章 Confusion


岡田が悲しそうな笑みを浮かべて首を小さく横に振る。

「なんで…!」

掴みかかろうとした俺の手を、岡田の手がやんわりと制する。

「当の本人があの様子じゃ、多分無理だろうな」

「でもやってみないと分からないじゃないか」

尚も食い下がろうとする俺に、岡田の鋭い視線が突き刺さる。

「落ち着け、櫻井。俺だって悔しいんだよ?」

岡田は俺達の関係を知っている唯一の友人だ。
その彼がこんな結果を招いたことを、何とも思っていないわけがない。

それは分かっている。
でも…

「続きは事務所に帰ってゆっくりと話そうじゃないか、な?」

「何か手立てはあるのか?」

「それは…分からない」

「…そうか」

「でもやるだけやってみようぜ?」

その言葉に俺も漸く重い腰を上げたが、急に視界がグラつき、俺はその場に崩れそうになる。

「おい、大丈夫か?」

床に倒れ込む寸前のところで岡田の手が俺の身体を支えた。

「あんまり寝てないんだろ? お前酷い顔してるぞ? 無理にとは言わないが、少し休め」

「ああ…、そうするよ」

智君のことを考えたら、呑気に休む気になんてなれっこないけど…

岡田の手に支えられながら身体をなんとか起こすと、俺は覚束ない足取りで法廷を後にした。
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp