• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第4章 Confusion


「判決を言い渡す。

主文、被告人を懲役15年の刑に処す。

判決理由は…………」

裁判長の声が法廷内に響いた。

瞬間、俺の視界は溢れ出る涙で歪んだ。

智君を守れなかった…

そのことだけが頭の中で何度も繰り返される。

「手を前に…」

言われるまま両手を差し出した君の手に、手錠がかけられる。

証言台に呆然と立ち尽くす智君を見ることすら出来ず、俺は涙に濡れた顔を手で覆った。

ごめん、俺のせいだ…
全て俺が…

君は何の罪も犯しちゃいないのに…

刑務官によって脇を抱えられた智君が、法廷を出て行く姿を、俺は覆った指の隙間から見つめる。

その時、智君の顔に一瞬だけ笑みが浮かんだ。

どうして笑えるの?

どうして君は”大丈夫”なんて言えるの?

背中を丸めた後姿を見送りながら、駆け寄って抱きしめたい衝動に駆られた。

「…さと…っ…!」

俺の声は智君に届くことなく、法廷の重い扉が閉ざされた。

「仕方ないさ、あんな決定的な証拠提出されちゃ、こっちも負けを認めるより仕方がないさ」

同僚の岡田が膨大な弁護資料を鞄に詰め込みながら、俺の肩をポンと叩いた。

仕方ない…

「上告は…?」

鞄を手に、腰を上げた岡田を見上げる。
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp