• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第26章 Related


「考えられるのは、揉み消しだろうな」

やっぱりそうか…

岡田の言葉に俺はタブレットの電源を落とすと、鞄の中に仕舞った。

俺はそれ以上言葉を発することなく、車窓に視線を向けると、両耳を手で塞いだ。

「何やっての、お前…」

息がかかる程の距離にいるのに、岡田の声はとても遠くに聞こえて…

「ん? 深山さん、良くやってるだろ? だから俺もちょっと真似してみた」

耳も目も塞ぐことで、俺達が見落としている、何か別の物が見えて来るような気がした。

「で、どうなの?」

「いや、何も…」

俺は岡田に顔を向けることなく、苦笑する。

でもきっと何かある筈だ。
俺達が見落としている“何か”が…

「なあ、櫻井? さっきの話だけどな…」

「さっきの、って…? ああ、“揉み消し”って話?」

「うん、まあ…。

…おっと、到着だ。またこの話の続きは後日ってことで…。とりあえず今は、大野からの手紙が先決だ」

フロントガラスの向こうでは、街灯の下に、長身の人影と、それよりも一回り小さな影が、こちらに向かって手を振っていた。

長瀬さんと侑李だ。

俺達は揃って車を降りると、人影に向かって足早に歩を進めた。



時刻はとうに8時を過ぎていた。
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp