第26章 Related
俺はフッと息を吐くと、ずっと気になっていた事を口にした。
「智君のいた施設と、被害者とされる“伊藤結”の施設って、喜多川建設で繋がってたんだよな?」
どちらの施設も、喜多川建設からの資金援助を受けていたことは、調べて行く上で分かったことだ。
勿論、岡田もその事は知っていて…
「そうらしいな。まあ、喜多川建設って言えば、業界でもそれなりに名のある会社だし、味方に付けておいて損はないだろうな」
「そうなんだよな…」
確かに岡田の言う通りで、喜多川建設程の企業がバックにいれば、国への申請も通り易いのは確かだ。
但し、それが“優良企業”であれば、の話しだ。
喜多川建設には黒い噂も少なくはない。
中でも暴力団組織との絡みは、最たるものだとも言える。
もっとも、施設の子供達を利用した売春の斡旋が公になったことによって、発覚したこともあるが…
そんな黒いと言われる企業が、どうして…?
それともう一つ…
「侑李の事件も気になってんだよな…。加害者である侑李が、いくら未成年だったからと言っても、普通ならもっとマスコミや、各メディアが大騒ぎする筈だろ? 」
事実、侑李の事件を扱ったのは、小さな地方新聞の、たった数行の文章だけだった。
その新聞社も、今では廃刊となっている。