第26章 Related
…が、人の車ってのは中々慣れない物で…
ましてや岡田の車は、最近新調したばかりの、所謂“左ハンドル“だ。
当然だけど、岡田の気は休まるどころではなく…
「やっぱり俺が変わろうか…?」
初心者並の運転テクニックを見せる俺に、終始不安顔だ。
「いや、大丈夫…。と、言いたい所だけど、スマン…俺には無理だ」
中古で購入したとは聞いているが、中古とは言え、高級車に変わりはない。
傷でも付けたら、大変だ。
俺は路肩に車を停車させると、シートベルトを外し、運転席を降りた。
「気にするな。それに明日は非番だから、少々の無理は利く」
相変わらずタフな奴だ…
助手席に移動した俺は、シートベルトをかけると、再びタブレットを開いた。
「大野の案件か?」
目線を前に向けたまま、岡田がポツリ言う。
それに俺も“まあね”と軽く返すと、ファイルのページを捲った。
「何か気になることでもあったか?」
「いや、特にはない。ただ…」
そこまで言って俺は先の言葉を飲み込んだ。
でもそれを岡田が聞き逃す筈もなく、
「ただ、何だ? 気になることがあるなら、言ってみろ」
決して急かす訳じゃない、岡田の穏やかな声が、俺の躊躇いがちな口元を軽くさせた。