第25章 Confession Ⅱ
どれくらいの間そうしていたのか…
気づけば太陽が天辺に登り、鉄格子の嵌った窓からは、暖かな陽が差し込んでいた。
それはまるで、アイツの…雅紀の腕の中のような…
そんな温もりで…
俺の心の奥底で氷のように冷えていた感情を、少しずつ溶かしていった。
「マサキ…、そこで見守っててくれるか?」
俺がどんな答えを出そうと…
お前は…、
お前だけは…
俺はノロノロと腰を上げると、引き出しの中から、受刑者に与えられる便箋と封筒を取り出した。
作業用にと与えられた机に便箋を広げ、大きく息を吸い込んだ。
鉛筆を持つ手が自然と震えて…
それを止めようと、俺は何度も深呼吸を繰り返した。
それでも何とか最初の一字を書き終えた時、それまでの震えが嘘のようにピタリと止まった。
次々と溢れてくる言葉を、便箋に書き連ねていく。
ただ、検閲されることを考えれば、事件についての詳細を手紙に書くことは出来ない。
検閲の時点で弾かれれば、この手紙がこの隔絶された世界から外の世界に送り出されることはない。
俺は慎重に言葉を選びながら、鉛筆を走らせた。
そして最後の一文字を書き終えた俺は、便箋を丁寧に折りたたみ、支給された茶色い封筒に入れた。