第25章 Confession Ⅱ
規則上、封をすることは出来ないから、封筒の口は開けたままだ。
封筒の表面に、以前受け取った手紙に書いてある住所と名前を書き写していく。
手紙の宛先は、翔でもなく、岡田でもない…。
長瀬さんだ。
長瀬さんには直接会って確かめたいことがあった。
とうとう聞き出すことが叶わなかった、松本との関係だ。
長瀬さんと松本が繋がっていることは、二宮からの話から明白だ。
でもどうして…
あの時松本は言った。
『約束守れなかった』と…
事件に関係があるとは思えない。
でもどうしても知りたいんだ。
何故長瀬さんがそうまでして俺のことを守ろうとしてくれたのか…
もしかして長瀬さんは何かを知っている?
それとも事件に何か関係が…?
いや、そんな筈はない。
あの人はそんな人じゃない。
そうでなかったら、俺はあの人に侑李を託したりはしなかった筈だ。
本当の弟のように可愛がってきた侑李を…
俺は頭をブルンと一つ振ると、封筒の裏面を向け、自分の名前を片隅に書いた。
差出人の住所は、あえて書く必要はない。
検閲の際、施設の住所が彫られたスタンプが押されるからだ。
俺は封筒を引き出しに仕舞うと、再びベッドに横になった。
窓の外に目を向け、流れる白い雲を追う。
あの雲は、どこに向かってる?
このどこまでも青い空は、翔の元へも繋がってんだよな…
だとしたらあの雲は…
なあ、翔…?
お前も見てるか?
同じ空を…
『Confession Ⅱ』完