第25章 Confession Ⅱ
「君が第一発見者…、ってことなのかい?」
井ノ原の問に、看護師は一瞬天を仰ぐと、フーッと息を長く吐き、そして水分を多く含んだ瞼を閉じた。
「私が発見した時には、もう彼は息をしていない状態で…。でも、食事が運ばれた形跡はあったので、多分その後彼は…」
「食事には?」
「一切手を付けていませんでした。彼、元々食が細かったようで、普段も残しがちでしたから…」
あのマサキが?
“ちゃんと飯食わないと、元気でないぞ”って、俺の背中を叩いたマサキが…?
何がそこまでアイツを追い詰めたのか…
もし原因があるとしたら、それはやっぱり…
俺か…
「彼ね、私がここに来ると、決まって明るい笑顔で迎えてくれたんです。きっと私のことを、あなただと思ってたから、なんでしょうね?」
「でもアイツは…」
「ええ、帰り際には謝罪の言葉を繰り返してました。多分…ですけど、離れたくなかったんでしょうね、あなたと…。
彼がどういう経緯でここに送致されたのかは、私は知りませんし、知ろうとも思いません。でも、彼はここに来てからも、ずっとあなたの事を想ってたんじゃないかなな…」
看護師は一気に話すと、俺の目を見て、頬を少しだけ綻ばせた。
慈愛に満ちた優しい笑顔…
やっぱり結に似てる…