第25章 Confession Ⅱ
「あなたが、相葉さんの“恋人”だってことは、直ぐに分かりました。…実際には違ったようですが…」
看護師はフッと息を吐き出すと、その重い口をゆっくりと開いた。
「相葉さん、私をあなたと重ね合わせてたみたいで…。どこも似ているようには思えませんが…。私を見る度に、“智、ゴメンね…”って…。“傷付けてゴメンね…”って…ずっと繰り返してました」
マサキが俺に…?
傷付けたのは、寧ろ俺の方なのに…?
経緯はどうあれ、アイツの妹の…結を殺した“加害者”でもある俺に…?
もっとも、俺は殺しちゃいないが…
「だから私、てっきりあなたがあの人の恋人だと…」
「間違っちゃいないよ。俺は確かに…一瞬ではあったけど、アイツのこと愛してたし…」
嘘じゃない…
俺の心には、いつだって“翔”がいる。
でも、あの瞬間…マサキに愛されたあの一瞬だけは、翔のことは忘れてたんだ。
俺はマサキを…
「そう…ですか…。」
「あの…相葉はこの部屋で…その…」
「どうやって亡くなったか、ってことですか?」
井ノ原が飲み込んだ言葉に、看護師が俯いていた顔を上げた。
「丁度あの窓に嵌った格子にタオルをかけて…。私が来た時にはもう…」
看護師が目尻に溜まった涙を、そっと指で掬った。