第25章 Confession Ⅱ
配膳係の受刑者が運んできた朝食を半分程食べ、俺はベッドの上で井ノ原と、あの結に似た看護師が来るのを待った。
回診はいつも決まって9時を回った頃だ。
与えられた本に視線を落としながら、頭の中では、どうやって話を切り出すか…、そればかりを考えていた。
壁にかかった時計の針が、コチコチと秒を刻む音が煩くて、本の内容なんか、一つも頭に入って来やしない。
一分一秒が、とてつもなく長く感じた。
そして時計の針が丁度九時を指した時、格子の嵌った鉄の扉の鍵が開けられた。
最初に入って来たのは担当の刑務官。
その後に続くように、井ノ原と例の看護師が入ってきた。
俺は本を開いたままの状態で、ベッドの脇に置くと、看護師から差し出された体温計を受け取った。
「調子はどうだ?」
井ノ原が、部屋の隅に立った刑務官の顔色をうかがいながら、小声で言った。
通常、必要以上の私語は厳禁とされている。
「変わりはないよ」
「そうか…」
俺の言葉に安心したように、井ノ原が少しだけ顔を綻ばせる。
どうする…
どうやって切り出す…?
「実は…」
散々考えあぐねた結果、俺は布団を捲り上げ、足を大きく開いた。
そして片膝を立てると、体温計の挟まっていない方の腕を、後孔へと伸ばした。