第24章 Confession
「そこに立て」
メモリの刻まれた壁を背に、番号の書いたプレートを手に、俺は正面を向いて立った。
フラッシュが焚かれ、目の前が真っ白になる。
その後も身体の向きを変えながら、数枚の写真が撮られた。
俺はこの瞬間が嫌いだ。
本物の”犯罪者”になったような、酷く惨めな気分にさせられるから…
まるで流れ作業のように進んでいく入所検査に、俺の心も身体も疲れ切っていた。
時折、井ノ原が心配そうな顔で俺を見たけど、俺はそれに極力笑顔で応えた。
俺は大丈夫だから…
ある意味、自分にそう言い聞かせたかったのかもしれない。
全ての検査が終わると、俺は車椅子に乗せられたまま、いくつかの鍵のかかった鉄製の扉を潜り、“病室”という名の“舎房”に移動した。
「3122番、入れ」
“3122番”
それが俺に与えられた新しい名前か…
感情の起伏のない声に背中を押されるように、車椅子が舎房の中に進んでいく。
ペンキの剝がれ落ちた壁が、何とも寒々しく感じる狭い部屋には、簡素なベッドと、洗面台、剥き出しのトイレが設置してある。
見た目は普通の病室と何ら変わりがないように見える。
でも窓や舎房と廊下を遮るドアに嵌め込まれた頑丈な鉄格子が、ここは刑務所なんだということを想わせた。