第24章 Confession
普段自分では触れることのない部分を両手で開き、検査係と刑務官の前に晒す。
ちっぽけなプライドが、ズタズタに切り裂かれる瞬間だ。
開いた部分からライトが照らされ、グイッと何かが押し込まれる感覚に、身体が崩れそうになる。
「クッ…」
肉壁を確かめるように擦られ、思わず漏れそうになる声を、唇を噛みしめて堪える。
それでも滲んでくる涙だけは隠しようがなく、零れ落ちた滴がシートに小さな水溜りを作った。
「よし、問題なし。服を着ろ」
何事もなかったかのように言われ、俺はなんとか身体を起こすと、井ノ原の手を借りながら、用意された白の着古した上下と下着を身に纏った。
「大丈夫か?」
俺の身体を抱き起し、車椅子に座らせるふりをしながら、周りに気取られない様にかけられた言葉に、俺は平静を装って小さく頷いて見せた。
本音を言えば、たとえ相手が井ノ原であろうと、その胸に飛び込んで声をあげて泣きたい、そんな気分だった。
でもそんなことが許される筈もなく…
ごめんな、翔…
お前の残してくれた”痕”、俺の中から消えちまったよ…
もう、欠片も残っちゃいないよ…
俺は心の中で、翔に向かって”ごめん”と何度も繰り返した。
寧ろ、そうでもしなければ自分を保っていられそうになかった。