• テキストサイズ

Cage -檻ー【気象系サスペンスBL】

第24章 Confession


「井ノ原医務官はこの先はご遠慮願います」

車椅子を井ノ原の足が一歩舎房に踏み入れた瞬間、刑務官の無情の声が降り注いだ。

「いや、しかし…」

「…ありがとな…」

食い下がろうとする井ノ原を見上げ、俺は小さく首を振った。

俺のためにこれ以上井ノ原に迷惑をかけることは出来ない。

「ほら、行けよ…、俺は大丈夫だから」

「分かったよ…、でも何かあれば…」

顔に似合わず、意外としつこい奴だ。

俺は車椅子の車輪に手をかけ、病室という名の舎房の奥へと車椅子を進めた。

刑務官に制止される井ノ原を、一度も振り返ることなく…

やがて俺の背後で、ガシャンと音を響かせて、鉄格子の嵌まった扉が閉められた。

残ったのは俺と、刑務官、そして若い女性看護師だけだった。

刑務官は車椅子の車輪を固定すると、俺にベッドに上がるように言った。

刑務所とはいえ、いちおうは医療機関であることに違いはない。

生活の殆どは、この寂れた”部屋”の、硬いベッドの上ってことになる。

やっとの思いでベッドに上がった俺の上に、看護師が布団をかけてくれる。

その時一瞬見せた笑顔が、どことなく彼女…結の笑顔に似ている、そう思ったのは、俺の思い過ごしだったんだろうか…


『Confession』完
/ 609ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp