第24章 Confession
「立ちなさい」
感情の見えない目が、俺を見下ろす。
「…はい」
俺は井ノ原の手を借りながら、ノロノロと車椅子から立ち上がると、傍にあった壁に片手を着いた。
「所持品はこれだけか?」
今の俺に“所持品”と呼べる物なんて、何一つありはしない。
仮にあるとしたら…今のところあまり役には立っていないが、俺のもう一本の足とも呼べる“杖”ぐらいのモンだ。
「コレはコチラで預かるが、構いませんよね?」
刑務官が井ノ原を見た。
井ノ原はなんとも言えない複雑な表情を浮かべ、それでも仕方なく頷く。
それが“凶器”に変わりうる可能性は、否めないことを、井ノ原自身重々承知しているから、なんだろうな…
「では、服を脱いで」
俺はフッと息を吐くと、片手で上衣のボタンを外した。
そして肩からスルリと落とすと、続いてズボンに手をかけた。
ウエストはゴム製になっているから、着脱は簡単に出来る筈なのに…
「あの…、介助しても?」
見兼ねたのか、井ノ原が刑務官に向かって、俺の介助を申し出た。
「…許可しましょう」
一瞬困惑した様子を見せたが、仕方なく…、だろうな、それを受け入れた。
「悪いな…」
アンタが謝る必要なんてないのに…
井ノ原が俺のズボンを、下着ごと一気にずり下ろした。